招 か ざ る 客

夕暮れのことである。
娘が玄関で大声を上げて私を叫ぶように呼んでいる。
あわてて玄関へ飛んで行くと、玄関先のすいれん鉢の淵にカラスが ----
まだ若そうなカラスです。お父さんこのカラス怪我している。捕まえて治してあげてもよい?
と言う問いかけに私は無言。
良く見るとくちばしの上、顔と言ったらよいのでしょうかなりの怪我です。
やむを得ず捕まえようとしたらカラスも怖いのか逃げました。
なんだ大丈夫そうと思ったのですが車庫のドアの上に留まれずに落ちてしまった。
やれやれと捕まえようとすると、今度は飛びあがれて車庫の屋根に移ってじっとしています。
捕まえるのは様子を見てからと思っていましたら周囲もうす暗くなり
柿の木の太い枝に止まっています。
そこへ親鳥でしょうか2羽が飛んできてなにやらクァークァーと鳴いています。
きっと心配しているのでしょう。
柿の木の上の方だから今日はそっとしておこうと娘に伝え様子を見ることにしました。

翌朝のことです。
娘が庭先で捕まえてしまいました。寝れずに番をしていたのでしょうか。
完全に弱りかえっています。野生の鳥獣は、突然弱ってしまうものなのですね。
自分にでき得る全てを成してこれまでだと思うのでしょうか?
親離れをしたら自らの力で生き抜く他に誰も助けてはくれません。
人間はその点では幸せです。何時までも親離れせず過保護に育ちます。
きっとあとで付けが回ることでしょう。
いずれにしてもカラスに生まれてこなくてよかったですね。
このカラス大変なんです。
早速急こしらえの段ボールハウス、まず水を飲ませ、良く見ると
どうも怪我は顔一面、目がつぶれているのです。瞬きもできずに周囲の
気配だけを感じ取っているようです。
まだ一度も鳴き声を聞いていません。声帯も具合が悪いのでしょう。
可愛そうなカラスはたして元気になるか心配です。
私がどのようなものなのか分からず警戒心と恐れで身がちじむ思いでしょう。

娘が、動物病院へ連れて行きました。
以前、道端に落ちてしまったハトの幼鳥を連れ言った病院です。
このハトのこともいずれブログに登場することになりますがもう10年以上経ちます。
我が家では元気で人気者です。
ハトの話は後日とし、獣医さんに診察をしていただき、薬と目薬をいただいてきましたが、
怪我は何とかなりそうですが目がほとんど見えずはっきりとは言いませんが重症でもう少し
様子を見ましょうとのことです。
私が見ても目はつぶれ回復の可能性はかなり低いと感じました。
鳥にとって目は最重要で命取りです。介護とりなどいないのですから ----
獣医さんは、野性に戻す意思であるならば治療等は無料。
ペットとして飼育するならば治療費はいただきますよといまどき珍しい獣医さんです。
お言葉に甘え無料でした。
やせ衰えてがりがりですと言われ、食事の世話に大わらわ、それでも大きなくちばしで
少しの食物をたべたのでほっとしています。
食べないと元気にならないよカラス君。がんばって食べてね
カラスは害鳥か? ネットで調べると真っ先にカラス、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメと
続く、人間が山や森を伐採開拓したために棲むところ食物もなく、追われて
やむを得ず都会に棲むようになったため害鳥とされてしまったのではないでしょうか。
その数もスズメなどは激減していると聞きます。そのうち希少価値が出て保護され
るようになるかも知れません。
人間の勝手が生み出した何物でもないのでは?もっとも地球もいずれは消滅する運命
なのでしょうからその時代に出くわした運命と考えましょう。
亡き母が私が子供ころに良く言っていました。人間ほど怖いものはないと。
この哀れなカラスとの出会いがお互いに良かったと思えることを祈る気持ちです。
この続きは又のブログでお会いしましょう。見ていただいた方にカラスの元気
になった姿をぜひ見せたいと思っています。
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